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コエンザイムQ10は、いつ、どのように発見されたの?

 1950年代初期、英国のリバプール大学で脂溶性ビタミンや、コレステロールの研究をしていたモルトン教授らは、生体の組織に、普遍的に存在するキノン構造の物質を発見しました。その物質は、ユビキタス(普遍的に=どこにでも存在する)キノンということで「ユビキノン」と名付けられました。

 

 そして1957年、アメリカのウイスコンシン大学酵素研究所のクレイン教授らは、牛の心臓のミトコンドリアに、キノンの性質を持つ黄色い物質を発見しました。実験の結果、この物質が、エネルギーを生産するのに必要不可欠な「補酵素」であることがわかりました。この物質は化学的にキノン構造を持つので、「補酵素 (Coenzyme)」と「キノン (Quinone)」を合わせて「コエンザイムQ10」と名付けられました。

 

 同年、コエンザイムQ10とユビキノンは同じ物質であることがわかり、1年後の1958年にフォルカース博士により化学構造が決定されたのです。

 

<参考文献>

永田勝太郎 監修 『コエンザイムQ10で元気力アップ』世界文化社, 2004, p.24

J.S. Lowe, R.A. Morton, R.G. Harrison : Nature (London), 172,716 (1953).

F.L. Crane, Y. Hatefi, R.L. Lester, C. Widmaer : Biochim. Biophys. Acta, 25, 220 (1957).

F.L. Crane, C. Widmer, R.L. Lester, Y. Hatefi : Biochim. Biophys. Acta, 31, 476 (1959).