書籍紹介 「痛み治療の人間学」

価格:1,210円(うち消費税 110円)

出版社:朝日新聞出版

発売日:2009年4月10日

四六判並製 

ページ数:240ページ

著者:永田 勝太郎

医師・医学博士(1948-2022)

千代田国際クリニック創設者・前院長

(公財)国際全人医療研究所 創設者・前代表

WHO(世界保健機関)心身医学・精神薬理学 教授

理事リヒテンシュタイン国際学術大学院大学 ヴィクトール・フランクル講座 名誉教授

本書の内容(出版社より)

 
頭痛・腹痛・腰痛などの身近な痛みから、我が国に200万人いるという急激に増えつつある線維筋痛症、がん・難治性の痛みまで、慢性的な痛みに苦しみ、現代医療に見捨てられた患者さん、言わば「痛み難民」が後を絶たない。痛みとは何か―。痛みは、その人固有の生き方、生活習慣、つまり「生きざま」に深く関係することが少なくない。患者さんの「生きざま」を知らずして、痛みを理解し、痛みを治療することはできない。全人的な理解をベースに、西洋医学、東洋医学、心身医学を統合した新しい医療の実践・指針を紹介する。

 

目次

序文 痛みに苦しむ人たちのために

痛みとは/痛みと生きざま/痛みをライフワークに/学生グループ「現代医学の思想と方法論」/痛み学の研修/「人生はあなたに絶望しない」/本書の構成について

 

1 身近な痛み―頭痛、腹痛、腰痛

〇頭痛:頭痛とだるさ/外来にて/頭痛と血圧/低血圧とうつ

〇腹痛:夜半の腹痛/戦争体験と痛み/腹部のガスと痛み

〇腰痛:8対2の法則/腹診/みねさんの特訓

〇肩の痛み・眼の痛み:ビッグプロジェクトのあとで/瘀血(おけつ)と胸脇苦満/身近な痛み治療のコツは

 

2 痛みとは何か

慢性の痛みとは/「痛い!」は「助けて!」ほか/痛みセンサーを刺激して起こる侵害受容性疼痛/非侵害受容性疼痛/精神疾患と痛み/慢性の痛みの謎/機能性身体症候群(FSS)/医療面接/サルトジェネシス(健康創成論)という考え方/サルトジェネシスと人生への姿勢/慢性の痛みの治療の原則/手を当てること/治療を妨げる阻害因子/慢性の痛みを訴える患者さんへの全人的アプローチーバリント療法/慢性の痛みを持つ患者さんの心理

/実存分析/実存分析の技法/チューニング・イン/慢性疼痛の全人的医療

 

3 線維筋痛症(心身症型)の痛み

線維筋痛症とは/「私は何科の患者?」ほか/迷って医者を転々と・・・/診療室で/痛みのある患者さんが持つ医療不信/生きざまが複雑に絡んだ痛み/線維筋痛症は複雑な機能的病態/身体因性偽神経症/患者さんの「問題」と「資源」ー患者評価表の作成/島田さんの痛みへの全人的なアプローチ/生きざまを変えることの困難さ/患者さんのポジティブな点=資源を探る/線維筋痛症と血流/血行動態不良症候群ー全身血流の異常/温泉療法/温泉宿で/湯あたり/音楽療法/温泉療法のあと/温泉療法への動機付け/温泉ロゴセラピー/非日常ということ/湯あたりは脳のリセットー脳波と心拍変動のスペクトル解析から/痛みと記憶/本章の終わりに

 

4 線維筋痛症(神経症型)の痛み

線維筋痛症患者さんの2型/えりかさんの全身痛/治療ー薬物と温泉ロゴセラピー/「今日の出来事」のなかで/虐待歴/3人の優しい人たちー妄想/「過去は私の宝物」!/妄想と退行/線維筋痛症神経症型の失敗例

 

5 難治性の痛み疾患ー複合性局所疼痛症候群

痛みそのものが病気/反射性交感神経性萎縮症の桃香さん/伸びた爪/将来のこと/絵を学ぶ/「私、デザイナーになる!」/将来への不安/治療者と患者さんのタイミング

 

6 がんの痛み

 増え続けるがん患者/子宮がんの幸子さん/ホスピスへの道/海へ/病院で/包括的な治療/孤独と絶望/希望と愛/サルトジェネシス/トータルペイン/モルヒネの副作用/死を意識して生きる/がんの従病の例/がんの自然退縮の例/具体的な治療方法/究極の意味/突然の事故/ショシャール教授の教え/愛の力

 

7 痛みの積極的診断

疼痛患者の積極的評価

 

8 痛みの東洋医学・統合医療

東洋医学的診断と統合医療/東洋医学の概念/5点法で評価/瀉法(しゃほう)と補法(ほほう)/現代医学のピットフォール/補法の重要性/がんの痛みと漢方薬/鍼の歴史/鍼の特質/鍼と血行動態/鍼と17ーOHCS(OH)、17ーKSーS(S)、S/O比/鍼と酸化バランス防御系/向ホメオスタシス機能ー鍼の効果

 

あとがき